azamiの趣味 離島生活

きしべのあざみ この頃の趣味

山岳信仰 富山県薬師岳

 

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小説ブログカテの皆さま、おはようございます。

今日からカテ移動して参りました。

きしべのあざみです。

ヘッダーには、前半の目次があります。クリックするとタイトルの短編小説に移動します。

【薬師岳】

薬師岳は富山市南東部の有峰に位置する標高2926mの山です。日本百名山の一つです。古くから山岳信仰の対象とされ、修行や信仰のために人々が登拝しました。富山市で最高所にある遺跡があります。


薬師岳はその名の通り薬師如来の浄土として信仰を集めました。山頂にはこの薬師如来を祀った小さな祠あり、数々の修験具が見られます。有峰ダム完成により水没したかつての有峰集落の住民たちは毎年6月15日に山頂へ登拝を行っていました。有峰村の人々は、薬師岳を神聖なものとして崇め、「岳は日に五たび色がかわる」と言って尊び、「重い病も薬師に祈れば治る」といって信仰してきました。


旧暦の6月15日は、薬師岳頂上での薬師祭が行われ、村の15~50歳までの男衆は祭りの一週間前から精進し、当日には沐浴して塩で身を清め、提灯を持って登り、途中三度程雪水で“みそぎ”をし、頂上近くからは素足で登って参拝をしていました。


有峰が廃村となると有峰側の登山道が廃れ、登山ルートは立山方面からの縦走によるものが主流となりましたが、有峰林道が開通した後は再び有峰側の登山路は重用されるようになりました。


薬師岳の山頂には薬師如来を祀った祠があります。以前はそのまわりに鉄剣が累々と積み上げられていました「岳の薬師」のほかに、有峰村に里宮の「里の薬師」がありました。


伝承では、「ミザの松という駕籠の担架棒作りを職業としていた男がミザの平で昼寝していたところ、ミザの松と名を呼ぶ声がありました。目をさましてみると、光り輝く小さな薬師如来がいて、ミザの松が驚いて如来のもとにかけ寄ると、如来は遠くにいます。如来のあとを追いかけてゆくうち、次第に山高く登り、如来は五ノ目の自然石の堂に入って姿が消えました。これを祀ったのが薬師岳の開け始めである」と伝わります。この「岳の薬師」の前立として、夢のお告げによってミザの松が有峰の里に創建したのが「里の薬師」であるとされています。『大山町史』は里宮の創建を明徳元年(1390)としています。


有峰村民が鉄剣を祠に供えるしきたりなどからも分かるように、本来は岳の山神に対する信仰でしたが、仏教化されてゆくうちに、薬師信仰に変わっていったとされています。


薬師岳が仏教化される以前には、薬師岳を神崎山の名で呼ばれていたり、里薬師にも鳥居が立っていたという証言から、信仰のあり方は多分に神道的だったとされています。


【あざみ短編集】

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現れる鏡


先週のことだ、夜中にふっと目を覚ますと、ベッドの足元がぼんやりと明るい。足元は壁だ、花柄の遮光カーテンがかかっている。


胸騒ぎがする。灯りが縦に反射しているようだ。

灯りがあると、眠れないので、部屋は真っ暗なはず。ひとり暮らしの部屋で、ぼんやりとした明かりも気になる。


反射している光源を探すと、ドアの隙間から、わずかに光が漏れている。暗い中で起き上がり、足元の壁ににじり寄ると、1mの高さの鏡がある。


手の平を当てると、冷んやりとした感覚がある。

わずかな灯りの中で、鏡を覗くが、自分の顔さえ見えない。


ライトを付けないで、さらに鏡の存在を確かめる。寝起きから、次第に意識がはっきりして来るとともに、恐怖が襲ってきた。


鏡なんかない。以前あった姿見は、明らかに何か潜んでいる気配に処分した。鏡はバスルームに顔が映るだけのサイズがひとつあるだけだ。


頭側の壁のドアを開く。リビングに続くドアで、リビングは冷蔵庫の表示窓の明かりがついている。テーブルのノートパソコンの明かり、炊飯器の保温状態のオレンジ色のライト。

これだけで、物の位置がはっきり判るほど明るい。


ふっと後ろを振り返る。一瞬、鏡に揺れる布が過ぎった気がした。と、鏡は消えた。

部屋の明かりを付けた。

異変はない、夢でも見たのか、思い違いか。


深夜2時である。全身にべっとり汗をかいている。心臓の鼓動はなかなか静まらない。

睡気は覚めてしまった。


キッチンでコーヒーを飲み、明るくなってから、ふたたびベッドに潜りこんだ。

翌日から、深夜に目を覚ましてしまう。

暗闇に目を凝らしても、何事もない。


三日目、金縛りで自分のうめき声を聴いた。いきなり目を開き、無理やり体を起こした。

鏡に男の顔が映っていた。その向こうに私の姿がある。


私と男の間には、ベッドしかない。

鏡を壊してしまいたいが、鏡なんか元からないじゃないか。さらに二日後、鏡に反射する明かりで、枠がある楕円の鏡が確認できた。


鏡には、驚愕した表情の男の顔が張り付いている。ベッドの上には布団を巻き付けた自分がいるだけ。


私は引っ越すしかないと、荷物を作っている。

勝手に出現する鏡は、どこから来るのか。

この話しをすると、母親も、兄弟も、友人も被害がないのだから、我慢しろと口を揃えて言う。


今日、男の背後に墓石が並ぶのを見た。多分墓石だ。黒いシルエットしかわからない。電気をつけると、気配ごと消えてしまうのだから、始末におえない。 


そして、私はワンルームの部屋に引っ越した。

鏡はついて来た。ついて来ると思っていた。

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