このあいだの台風の時に、Uターンして来た友だちから夕方電話が入った。
「台風、直撃すると、家やばいかも」
私は場所を説明されてもよくわからないので、「それは大変ね、避難すれば」と呑気に言った。
隣りにいた夫が電話をとりあげ「ご主人に変わって」と言っている。避難経路の説明をしている。「暗くても、道は舗装されてるから、山に向かって迂回して」「一見広い道でも、波がきたらさらわれるよ、そちは行かないで」
何やら緊迫しているみたい。
友人の旦那様は元は、関西の人。島には慣れていない。
彼女は4つだか5つある岬の真ん中あたりに住んでいるらしい。外海に面しているので、台風のときは、かなり怖いらしい。駐車場まで波に洗われる。家から岬にかけて、あと二軒の家があるだけ。うら寂しい場所だ。
そして、暗くなる間際に脱出した。ちょっと前に、島の内側に近いところに古い家を購入、セカンドハウスにしている。うちが依頼されてリホームと掃除をしていたところだ。海から20mくらい離れていて、背後の山が壁になり風避けになっていて、島の中では平地が多い地区だ。
私は夫と夕食を届けた。
いいところだ。このあたりは風が静かだった。
「あのさ、私この家買って良かったわ」
夫婦2人で岬の家と行ったり来たりして楽しんでいると言う。
「五島列島ってハワイだと思って生活しているの」
地図を並べて眺めている。
下が五島列島、奈留島は下から3つ目の島だ。
なるほどちなみに奈留島はmolokaiかなあ。
彼女は生まれ育った五島ではなく、ハワイで暮らしていると、自己暗示をかけ、内装も華やかにして、暮らし初めた。
ものは考え方次第だと悟ったのだとか。
でもさ、裏は猪の穴だらけで、砂浜もないし、私はハワイ気分にはなれない。そこまで想像力は追いつかない。
「庭にパラソルを立ててベンチを置くの。
おたくのご主人にお願いしたわ」
へっ? うちの旦那にハワイのイメージは無理、いいや、そのベンチ白ペンキを塗ればそれっぽいかも。
もうひとり移住組の友だちは、天井をぶち抜いて、ハリむき出しの高い天井にリホーム。大型のクーラーを入れ、部屋の真ん中にハンモックがかかっていた。
そして、畑はハーブガーデンになるらしい。
因みに、我が家は芋畑。
私はおしゃれに暮らすビジョンがみえないの。
東京に40年も住んでいたとは思えない。
普通に田舎暮らしが面白いのだ。