いつもと同じ朝、起きた瞬間に雨音に心が持って行かれた。悲しい雨音で、胸が潰されそうになり、涙は拭いても拭いても溢れた。
これはおかしい!
自分が悲しい理由を探るけど、なにも当てはまらない。そうだ、私は飼い猫が死んだとき以来泣いていない。
人生で一度だけなら泣いていいと、昔父に言われたことがある。私は泣かない。母が亡くなったときにも、堪えていた。
なぜこんなに悲しのか。
立ち上がってテレビをつけた。昨夜の豪雨で土砂に埋もれて亡くなった方がたくさんいると報じていた。
そのニュースを見たとたんに、自分の心が戻った。
沢山の人の嘆きや悲しみがなにかの弾みに伝播することがあるのかも。
まだまだ、人の能力や心は未知だと思った。
気のせいだよ、暗示にかかりやすいのではないか?
自分に問うてみた。それは、まったく違います。感受性はかなり鈍い。自分で判断を下した。
オカルト脳で、ファンタジー思考の私だと、理解して、世間や友人と話すときには防御している。
多くの人ならどんなことを話すのだろうか。
常に戒めて、口を滑らさないようにしているのです。
まったく痛ましいことです。天災は未だに人類をくるしめる。これはもう、それしかないですよね。
本人の嘆きが伝わる。残された人たちの悲しみを見ず知らずの私が感じてしまった。
まるで、通りすがりの雨雲に突入した車だ。
今は静かに雨音を聞いてる。