オリンピックなんとか、開催したからには全力で楽しみたい。
病気で退職してから丸2年半、昨年からコロナウィルスの影響もあり引きこもりがちです。毎日暑いし、死ぬほど退屈です。でも、こんなご時世だから、みんな不安で、みんななにか持て余しているのだなあ。
趣味のブログだけではなかなか退屈からは抜け出せません。不安と言う恐るべき敵がいまにも飛びかからんばかりです。
それなら「いざ出陣」。短編小説を再開します。
2日か、3日に1作日。
いつ打ち切りになるかは、私にもわかりません。
お陰様でぼちぼちやっています。
どれくらい書けるのか、いつまで続くのかはまったく不明です。
軽い読みものとして、楽しんでいただけると嬉しいのですが。ついでに気が向いたらコメントください。喜びます。
あざみ短編集
憧憬
幼少期、おそらく5.6歳頃だったか。ひとりきりの散歩ルートがあった。裏路を歩くと、夫婦2人で焼くせんべいが香ばしい店がある。裏に回ると、そこでせんべいを焼いているのだ。たまに焦げたり、割れたりすると、口に放り込んでくれる。
その裏道をたどると、ジュース工場に出る。ビニールの袋に入ったオレンジジュースで、破れたものは、入り口のカゴに入れてある。地元の子供たちならみんな知っている。一本を手に入れて、今度は表通りに出てから、道路を横断する。
大きなお屋敷の蔵が目当ての場所。蔵のまえの椅子に、おばあちゃんが座っているときには、10円で、蔵に積んである中から、持てるだけのお菓子が買える。いないときには、がっかりする。地元の菓子メーカーの会長の家だとは当時は知らなかった。優しいおばあちゃんくらいにしか認識していなかった。
そして、昼時になると、立寄る神社。
祭壇の前に畳3枚が敷かれていて、かんたんな食事ができる。誰もいないのに、炉には自在鉤がかかり、鉄鍋には煮物だったり、うどんがぐつぐつ煮えている。蓋をとり、勝手に椀に盛り、ごちそうになる。お礼は神社の庭の掃除や草とり。
そんな町内巡回も、いつからかしなくなり、すっかり忘れていた。
大人になり、田舎に帰省するたびに、懐かしく裏路を見て歩く。行きつけたのは、今では全国区になった菓子屋の倉庫まで。
どこをどう歩いても神社はなく、親も兄弟も、幼なじみも、知らないと言う。
とろとろの煮込みうどん、今なら代金を払っても食べたい。