滋賀・岐阜県境にそびえる伊吹山は霊峰として古記紀神話にも登場する。この山の神は伊吹神として近江・美濃両国で祀られ、いずれも式内社です。『文徳天皇実録』や『三代実録』に神階昇叙のが見られています。
また、『三代実録』878年2月13日条によれば、伊吹山は七高山(比叡山、比良山、伊吹山、愛宕山、金峰山、葛城山、神峰山のひとつであり、伊吹山護国寺という山岳寺院が開かれていました。この寺院は、修行僧である三修の活動によって発展を遂げたと伝わります。
【伊吹山護国寺】
弥高寺・太平寺・長尾寺・観音寺(いずれも正式には、「護国寺」を寺号とした)に分化したといわれています。そのうち、観音寺(大原観音寺と通称される)は現在、伊吹山から離れた場所にありますが、正元年間(1259〜60)、伊吹山中から現在地に移転したとされています。
観音寺は、伊吹山四か寺の中では隋一の豊富な古文書(『大原観音寺文書』)が伝来することで知られています。この文書からは、中世の伊吹山に依った観音寺等の山伏の動向が見えて来ます。
〈伊吹山の宗教組織と山伏〉
中世の伊吹山は単一の宗教組織のもとに管理されているのではなく、大まかには弥高寺・太平寺・長尾寺・観音寺の4か寺と伊吹社・三宮の両社により構成されていました。
伊吹社は伊吹山の神格そのものであり、三宮は伊吹山の抖藪路の入口(後に一宿相論の焦点となる)にあることから、やはり伊吹山との関係が深い神とされています。4つの寺には、行事負担が均等に課せられていました。この負担が、4か寺の並列関係は安泰ではなく、弥高寺と太平寺の間で本末相論が生じ、徳治3(1308)年に山伏を中心とする対立が生じていたと伝わります。観音寺の内部組織と山伏の位置づけは衆徒(寺僧とも称した)を中心に構成されており、その代表として院主が寺務の中枢にありました。寺内にはまた、衆徒以外に、山伏や聖、承仕といった宗教者も存在しました。これらは衆徒の下位に位置づけられていたと見られています。
山伏は独自の序列をもつ集団を形成し、観音寺の成立経緯が伊吹山と関わっていることからすれば、衆徒が山岳修行を行ったともされ、「山伏」と呼称されることはなかったようです。伊吹山関係寺院に依拠する宗教者を一括して山伏とみる声があります。
山伏の宗教活動は、三つに大別できる。(1)伊吹山に関係するもの(抖藪行、伊吹社の行事)、(2)熊野先達としての引導・配札など、(3)観音寺や、岡社・三嶋社のような周辺村落神社の行事・祭礼への参加です。とくに、後二者は、山伏が地域住民の信仰に関与するとともに、それを観音寺に吸引する意味を持っていたと考えられています衆徒を中心とした組織や山伏の存在形態は、伊吹山四か寺に共通します。
【家一軒丸ごと整理する】
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本音は要らないなあ