今年のゴールデンウィークは家業と、引っ越し作業で埋まっています。
明日は朝9時から二か月先のフェリーの予約をします。横須賀から新門司港まで21時間確か昨年の夏に開始した新航路です。一度だけ台風の余波で船が揺れたため初めて船酔いしたので、船は恐ろしいです。
遺品整理の仕事は、依頼主立ち会いで絵画の査定業者が入りましたが、案の定、依頼主は余りの低い価格に茫然自失、当たり前です。コロナ前の10分の1、査定はまとめてなんぼの粗大ゴミ扱いです。肉筆もリトグラフも関係ない。
予め市場を調べておいたので、依頼主にはだいたいの厳しい状況を伝えて置きました。それでも、その場では決断できずに延期しました。
着物や反物はさらに厳しいと、遺品整理を考えている方にはお伝えします。
自分で一点ずつオークションやメルカリで販売する方が少しは高く売れます。
でもね、物の価値がここまで下がるのは、危機的な状況です。着物の価値は、母の時代なら、財産として購入していたものです。
私の成人式の時に、洋服を買って欲しいと言ったら、『親の気持ちがわからないの?』と泣かれてしまい焦りました。成人式で、一度着た後、私は会巻き布団に仕立て直してもらい、また母を失望させてしまいました。
作った着物は、一度も袖を通していないものがほとんどです。あーあ、母が苦労して用意してくれた和ダンスいっぱいの着物はよくて、五万だろうな。
次々と新しい物を作り出し、新しい物を好む時代も、そろそろ限界に来ていると思います。
依頼主の泣きそうに歪んだ顔が頭を離れません。絹は今でもお蚕さんが吐き出す糸だし、機織りの職人さんも苦労して作っています。絵付けの職人さん、仕立て屋さん、たくさんの人の手を経てようやく世に出てきたのに、箪笥に寝かせていたら、二足三文です。
自分が買うときには、あっ、そうそう、私が好きなミントンの食器たち。カップ&ソーサーを2000円で購入しました。後ろめたいです。でも、新品未使用でこの価格、もちろん買います。負の連鎖です。
こちらは依頼出品している肉筆油絵ですが、鑑定書がないので、模写扱いです。購入したときにはデパートの画廊で10万とか、5万とか。ご本人はたくさんのコレクションで記憶も曖昧です。
査定では、額縁の価格に満たない買い取り額です。
でも、インテリアの価値はありますよね。うさぎを嫌いな人はあまりいません。リビングに飾りたいと思うのは、私だけ?
私が付けた価格は9500円。それでも売れないのは、同作家の中古品が過去に4000円で取り引きされているからに違いない。日本に入っている作品はそれほど多くないのです。
日本経済は貧富の差が著しくなっています。100万で、アニメのイラストを購入する人も居るのですから。もう、訳がわからん。
自分たちの大切な文化を自分たち破壊しています。
戦争も未だにやっているしね。危機感に潰されそうです。この時代に失うものは多いです。
ハンドメイドのお店をやろうと思っていますが、妹が言うように無理なのかも知れませんよね。
手編みのセーターはいけてない、重いし、一万円でかなりいいものが買える時代に、あえてハンドメイドになんのメリットがあるのだろう。しばらく、知恵熱が出るくらい考えたいと思います。
人口1800人の島でも、お裁縫や、編み物、料理が好きな人は存在すると思います。
まさか、妹が言うように『そんな人はおらんと』となったら、絶望感に囚われそうです。